COLUMN / 2026.11.08
耐震改修は、壁だけでなく床と屋根も。
耐震改修やリノベーションでは、壁を強くするだけでなく、床や屋根の面(水平構面)も強くしておくことが大切です。火打梁の後付け、既存の火打梁の止め直し、桁上合板、野地板の合板化を、自邸の改修の写真とあわせて紹介します。
ポイント:昔の家の火打梁は釘止めで、引っ張りの力にほとんど効いていません。
あっても効果はほとんど出ない
斜めの変形に抵抗できる
WHY
なぜ古い家は床や屋根が弱いのか
地震の力は、床や屋根の面を通って各階の壁に配られます。床や屋根がぐにゃりと変形すると、せっかく増やした壁に力がうまく届きません。壁と床・屋根をセットで考えると、補強の効き目がはっきり変わります。
筋かいの計算(壁量計算)だけで建てられた建物では、どうしても水平構面の強度が足りなくなりがちです。壁量計算は壁の量とバランスを確かめるもので、床や屋根の硬さまでは確かめないからです。
とくに古い家は、床が根太の上に薄い床板を張っただけ、屋根の野地板も細い板を並べただけということが多く、面としての強さはあまり期待できません。耐震改修で壁を増やすなら、床と屋根もいっしょに見直したいところです。

HIUCHI
火打梁は後からでも入れられる
水平構面を強くする基本は、梁と梁の角に斜めに入れる「火打梁」です。床や屋根が菱形にゆがむのを、角で踏ん張って止めます。
火打梁は後からでも入れる必要があります。火打梁がないところに付けるなら、ビスで止める火打金物が便利で、天井や床を開けたときに、割と簡単に取り付けられます。耐震改修や断熱リノベで天井を張り替えるなら、そのついでに入れておきたい補強です。
ビス止めの火打金物はいろいろなメーカーが出しているので、どのメーカーのものでも構いません。



ただし、火打の強さは、今の構造用合板などの面材で床や屋根を固めるやり方と比べると、非常に弱いものです。とにかくたくさん入れることが大事です。

2階建ての場合は、屋根だけでなく2階の床の強化も必要です。こちらも、火打を入れたり、既存の火打の端部を止め直したりと、考え方は同じです。
EXISTING
既存の火打梁は、端部を止め直す
既存の火打梁が外しにくいところや、既存を活かす場合は、別の方法をとります。昔の家の火打梁は、端部がせいぜい釘止めです。
ここが大事なポイントです。釘は、引き抜き(引っ張り)の力には非常に弱く、ほとんど抵抗できません。地震の揺れは行ったり来たりするので、火打梁には押される力だけでなく、引っ張られる力もかかります。引っ張られたときに釘が抜けてしまえば、火打梁はあっても無いのと同じです。釘止めの火打梁は、効果がほとんど出ていないと考えた方がいいでしょう。

そこで、端部を構造用ビスで止め直します。構造用ビスはほとんどボルト並みに効くので、梁が斜めに変形しようとする力に、火打梁が抵抗できるようになります。自邸では、丸い頭に四角い穴の構造用ビスを6本並べて打ちました。見た目が六文銭の家紋のようになりました。


KETAUE
自邸では、桁の上に全面合板を張った
自邸(築50年の空き家を住みながら改修)では、桁の上に合板を全面に張りました。桁上合板の一番の目的は、天井まわりの気密性能を上げることです。それと同時に、桁の上を合板で一面につなぐので、水平構面の強化にもつながっています。気密の工事が、そのまま耐震の補強にもなるわけです。
- 2020年4月:既存の火打梁の端部を構造用ビスで止め直し、火打のない角にビス止め火打金物を追加
- 2022年11月:2階を減築し、旧2階部分の屋根下地を撤去して桁上合板→垂木→野地板までやり直し

2階を減らして建物を軽くしたこともあわせて、耐震性は確実に上がっていると考えています。
NOJI-ITA
屋根の野地板も、合板にすると強くなる
昔の家の屋根は、野地板が細い板を並べた「ばら板」です。屋根を葺き替えるときに、この野地板を構造用合板にすると、屋根面の強度アップが図れます。
屋根の葺き替えや屋根断熱の工事は、野地板をやり直す大きな機会です。外観や雨漏り対策だけでなく、耐震の強化としても考えておきたいところです。
SUMMARY
まとめ
耐震改修やリノベでは、壁だけでなく、床と屋根の面も強くしましょう。
- 火打梁:ないところにはビス止めの火打金物を後付け。既存の木の火打は、釘止めの端部を構造用ビスで止め直す
- 桁上合板:気密のために張る桁上合板は、水平構面の強化にもなる
- 野地板:屋根の葺き替えでばら板を構造用合板に
家工房では、耐震診断から断熱リノベとあわせた補強計画までご相談をお受けしています。お気軽にご相談ください。
